初めての公認ドラフト~逆転への切り札~⑥

第五話

最終話~逆転への切り札~

俺は、潰してしまった。自らの切り札、勝ち筋を。

たった一度のミスで、俺は絶望的状況に追い込まれてしまった。まさかホリプパがバトルで敗れるとは思っていなかった、その油断が身を滅ぼしたのだ。

場には相手のユニットが2体、中央ラインに『マオ・シャム』、右ラインに『銀行頭取ロック・フューラー』、2体ともこちらの自軍エリアまできている。それに、ロック・フューラーには黒1支払いフリーズするだけで隣接しているユニットのパワーを-5000させる能力がある。しかも、自身の能力でフリーズされる度に欲望の連鎖と同じ能力を使える。考えも無しに5000以下のユニットを場に置くのは、ただ自分の首を絞めるだけの自殺行為となってしまう。しかし、俺のデッキには一部を除きほとんどのユニットが3コスト付近の軽量ユニットで構成されている。これではシャムに対抗する事だけでも難しい。

俺は、もうほとんど諦めていた。詰み、それはこういう事なのだろうと。俺に出来る事、それは手札を机に置く事だけだった。

――その時、俺は思い出した。今まで何のために闘ってきたのか、を。初めは、プロモのカードが欲しいから、ただそれだけを思いこのドラフトに参加した。そこで最後に引いてしまった『フェアエル・パーティ』。悔しさのあまり、こいつを必ず手に入れてやると決意した。そして、ここまで勝ち続けた。なのに、決勝戦でこんなにも簡単に諦めていいものだろか。そうだ、諦めるのはまだ早い。俺のデッキには、まだこの壁を越えるユニットが残されているじゃないか。

俺は息を吹き返したように、だが慎重に、ゆっくりとプランをめくった。しかし、そこにあったのは『闘神チヨダ』。一瞬、7コストというコストの重さからこれらの壁を越えられるかと思ったが、生憎こいつのパワーは5000、これではシャムと相打ちを取れるだけである。俺が求めているのはこいつではない。そう、ロック・フューラーと同じサイズ、6500を持ったユニットだ。俺のデッキには、1枚だけ入っている。ファイアストーム・ドラゴンもいるが、こいつは序盤に赤エネを確保するためエネルギーゾーンに置かれている。だから、今俺のデッキには1枚しかいない。もしかしたら、スマッシュに送られているかもしれない。はたまたデッキの下の方かもしれない。でも、俺は祈る。必ず来ると。マキリは来てくれた。だからこいつも来てくれる。

「……プランを更新します」

俺は一気にめくってやった。必ず来てくれると、信じていたから。

めくれたカード、『闘神ニシキ』。

(……来たっ! 来てくれたっ!)

迷わず、それをシャムのスクエアに置く。当然のごとくシャムは墓地に置かれ、ニシキは悠然と生き残った。ここならば、コルドロンの効果でパワーが+500され、ロック・フューラーをわずかに上回る。これで相打ちも取られず、一方的に倒せる。ようやく、俺の首の皮が繋がった。

次の相手のターン、特に目立った動きをするわけもなく、プランから『変幻獣バブル・ジュエル』を右ラインにプレイ。そしてロック・フューラーでスマッシュ。これで、俺の受けたスマッシュは5。なんらかのユニットがこちらまで攻めてくるか、2スマッシュのユニットが中央で優先権放棄するだけで、こちらは敗北となる。やっとニシキで首の皮が繋がったと思ったら、すぐこれである。やはり今回も絶望的状況を回避する事は出来ないようだ。

そして俺のターン。何か打開策を求め、ドローする。すると、ここで、俺はあるカードを引いてしまった。

“ある可能性”を秘めた、最初のデッキ構築の時、俺を呼び止めたカード。

――様々なカードが俺を横切り、そしてさっていく。そんな中、そのまま流そうとしたカードに呼び止められたような、妙な感覚が俺を過ぎり、見直した。そこには、俺が前にデッキの主体として使っていたカードがあった。この感覚は、もしやこのカードの呼び声なのか。俺はその一枚をひっそりとデッキへと忍ばせた。信じてるぞ、と念を送って――

今まさに、そのカードが来たのだった。だが、所詮は“可能性を秘めたカード”、適当に使ってはただ返り討ちにあうだけだ。俺はまず、エネルギーを見る。ここは丁度いい。次に手札を見る。手札にはこのカード以外、『大巨人マーキュリー・イーター』『弾丸小僧アルジー』『弧状の魔炎アーク』がある。材料は揃っている。そして、最後に相手のエネルギーを見る。ここが一番の難関なのだ。しかし、生憎相手のエネルギーゾーンにはリリースされたエネルギーがたくさんある。これでは、作戦を遂行する事は出来ない……。

そこで、俺はある策を考えた。相手が、うまくそれに乗ってくれれば……。

「灼熱のコルドロンをフリーズ、一回だけニシキの移動コストを0に。そして、そのままニシキをロック・フューラーのスクエアへ」

これで、ロック・ヒューラーの壁を潰す事に成功した。

「優先権放棄!」

残すは、相手の対応。

俺は必死に祈った。もしこれでエネルギーを使い切ってくれれば、“可能性”が“確実”へと変わるかもしれない。

しかし、無情にも相手はそのまま優先権をもらう。そうやすやすと、チャンスは訪れてくれないようだ。

そして相手のターン。相手は必死にスマッシュを取りに行くように、バブル・ジュエルをこちらまで進軍させる。そのスタックに、俺はバブル・ジュエルの目の前にマーキュリー・イーターを置く。これで、相打ちを取れる。そんな時だった。相手は、何やらそのスタックに『ローグ・ロングホーンビートル』を右ラインの敵軍エリアにプレイしたのだ。どうやら、テキストを見間違えたようだ。

いける……っ! これで作戦は成功する……!

俺は心の中で叫んだ。このままなら勝てる! そう思い込んで。

しかし、ここで相手は『エメラルド・ソウル』をバブル・ジュエルに使った。これで、バブル・ジュエルのパワーは6000、マーキュリー・イーターのパワーは3000、一方的に踏まれてしまう。俺はひどく恐れた。このスマッシュが通ってしまったら、俺は敗北してしまう。仕方なく、さらにスタックし、俺は左ラインの自軍エリアにアルジーをプレイ、そして廃棄した。それにより、マーキュリー・イーターのパワーは5000、だが、あと1000足りず。仕方なくそのままバトル開始、そしてマーキュリー・イーターは墓地へと送られた。効果で、俺は相手に残っている最後の1エネ、それをフリーズさせる。これで、相手は全てのエネルギーを使い果たした。これは、俺が最も望んでいた状況だった。しかし、右ラインには残りパワー1000となったバブル・ジュエルがスマッシュをするため優先権を放棄していた。このまま通せば、俺は負ける。仕方なく、手札からアークをぶつけ、何とか阻止した。

だが、ここである問題が発生してしまった……。条件の材料となるユニットを、全てバブル・ジュエルとの戦闘に使用してしまったのだ。俺の手元には“可能性を秘めたカード”、ただ一つ。

俺のスマッシュは5、相手のスマッシュは3。そして、場には効果により7500の化け物と化した相手の『ローグ・ロングホーンビートル』がいる。あのカードを迎撃できるカードなど、もう残ってはいない。要は、ここで俺が先に勝たなければ、次のターン、確実にやられる。

まさに、運命のラストターンという事だった。

しかし、俺の総エネルギーはスマッシュを含め11、この作戦はエネルギーのほとんどを消費してしまうため、プランから展開して……、という事は許されない。

そう、俺の勝敗は、この1枚のドローに託された。

もし、これが条件を満たすカードなら……。だが、逆に条件を満たすカードじゃなかったら……。

(俺は、全てをこのドローに賭ける……っ!!)

ゆっくりと、山札の上のカードに触れる。ドキン、ドキン、と鼓動が荒ぶっていくのを感じる。

もし、引けなかったら……。いや、そんな事を考えていてはいけない。マキリもニシキも、ここ一番で来てくれたじゃないか。信じる、信じるんだ。引く、必ず引く、絶対に引くと……っ!!

そして、勢いよく、俺は引いてやった。全てを、この1枚に賭けて――――

――――引いたカード『フライング・チャーム』

――――来た、来てくれた。条件を満たす、3コスト2移動以下のカード……っ!!

「3コスト払い、『フライングチャーム』を中央ラインにプレイ! そして、2コスト払い、『フライングチャーム』に『誇りある反乱者』をプレイ――――!!」

こうして、俺は全ての闘いを勝ち抜いた――――

長かった闘いに終止符が付き、俺は今カードキングダム伊勢崎を後にしている。その手元には、『魂の刃マキリ』が握られていた。もちろん、『フェアエル・パーティ』とプロモの『犬闘士ブル・マスティフ』も一緒に。そう、カードの分配時、『フェアエル・パーティ』の後にもう1順した時選んだのだ。今回の激戦を共に戦い抜いた相棒を取らずして俺の相棒は語れない、そう言うことだ。

俺は、きっと今日の闘いを一生忘れない。いや、もし忘れたとしても、この『魂の刃マキリ』、このカード見れば、あの光景が目に映る事だろう。今日の、初めてのドラフトでの激戦が――――

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初めての公認ドラフト~逆転への切り札~⑤

こんばんは、今回も前回の続きですので、前回を未読の方は第四話をどうぞ。

(注意:これは全てノンフィクション、実際に起きた出来事を小説のように書いています)

第五話~姉弟と頭取~

ついに、俺はここまで来てしまった。3回もの激闘を乗り越え、ついに4回戦目、最終戦に。まだ2時間ほどしか経っていないのに、まるで5時間くらいぶっ続けで闘っていたような、そんな感覚が芽生える。あの自分のパックからシルバーが立て続けに出た悲しみ、フェアエル・パーティを引き当ててしまったショックと興奮、そして無理だと諦めていた優勝への道。今まさに、その優勝への道の最後が見え始めていた。出口はすぐそこに、少し歩けば手の届くところまで来ている。だが、その出口は歩けど歩けど遠ざかり、一向にゴールする事は出来ない。そう、何故なら俺はまだ潜り抜けていない試練があるのだ。最後の闘いを、勝ち抜くという事を。

思えば、今までの闘いはみなギリギリのものばかりだった。勝負を決めたのは、1回戦目は最後の最後で引いた破壊竜吼えるによるリリースイン。2回戦目はマキリによる一気に与えた5点のスマッシュ。3回戦目は序盤のマキリによる4点のスマッシュと1回戦目と同じく破壊竜吼えるによるリリースイン。それもほとんどが後の無い、失敗したら終わりの闘いだった。まさか初めてのドラフトでここまで波乱の闘いを強いられるとは思ってもいなかった。だが、そんな闘いも様々なカードに助けられてこそ勝ち続けられた。その中でも、一番頑張ってくれたのは俺の相棒、マキリだった。1回戦目や2回戦目、ましてや3回戦目までも俺の力になってくれた。“必ず来てくれる”、俺はそれだけを信じて闘った。次の闘いも、きっと来てくれる。きっと。

俺が4回戦目の闘いの場へと向うと、そこに座っていたのはなんとホリさんだった。最近店で見かけなかったから、もうカードゲームをやめてしまったのかと思っていた。しかし、そんな久々のホリさんは、今俺の目の前に最後の敵としている。俺はこの人に勝って、優勝しなければいけない。フェアエル・パーティのために、頑張ってくれたマキリ達のために。

ジャンケンの結果、またも俺の後攻スタート。どちらかと言うとマリガンが使える後攻でよかったのだが。そして、俺はゆっくりと手札をめくった。何かに期待しながら。しかし、そこに期待のものはいなかった。それも、よくデッキを切っていなかったのかベースやらストラテジーばかりが溜まり、とてもじゃないが闘えるようなものではなかった。俺は迷わずマリガンを宣言し、山札の下にそれらのカードを送り、上5枚を手札へと加えた。そう、まるで3回戦目のように。あいつは必ず来てくれるはず、まるで3回戦目のように。俺は信じた。あいつはまたひょっこり顔を出してくれると。そして、今度こそ来てくれると信じて、めくる。

……しかし、そこにあいつの姿はなかった。

これは、至極当然の事なのだろう。そもそも、今まで3回連続で来る事自体がすごかったのだ。たった1枚のカードが、そこまで連続してくる事など滅多にない事なのだ。今まで運が良かった、それだけなのだろう。俺は開き直り、じっくりと相棒のいない手札を見つめた。しかし、マリガンをしたのにも関わらず、そこには序盤の要となるユニットが何一ついなかった。いるといれば『チャイルド・スピリット』、だが生憎手札にある青のカードはこいつだけのため、とてもじゃないが出せるはずがない。元々スモールアイ狙いで入れたものなのだ。だがそのスモールアイをさせてくれるユニットがいなければ意味が無い。最終戦で、それもまだ1ターン目にして、俺は絶望的なピンチに陥った。

2ターン目、俺は『灼熱のコルドロン』を中央ラインに置く。もちろん、それにあうユニットなど手札にはない。ベースを置く、出来ることと言えばそれだけなのだ。生憎、相手もまだ何も行動を起こしてはいなかった。多分こちらと同じようにいい回りをしていないのだろう。本来なら、その隙をついてスマッシュをしにいきたいところなのだが。そのまま3ターン目も特にする事がなく、俺はそのまま優先権を放棄する。何故プランをしないか、それは俺のデッキの小型ユニットのほとんどが3コストであり、無駄にプランをしてもしょうがないのだ。それに、もし暴走付きカードがめくれてしまったら尚更大変になる。プランをするのは4ターン目から。俺はそう決めていた。

そして4ターン目、やはり相手もつまっているようで、何回かプランをするが全て噛み合わず、無駄に終わる。俺のターン、引いてきたのは青いカード。迷わずエネに送るが、これではまだ足りない。隊列召喚を狙うには十分だが、直接出すためにはまだ足りない。俺はさらに絶望的な気分になった。“全く動かない”、こんな事初めてだったのだ。今までは、いくら手札がつまっていようとも、マキリだけはいた。それに、不思議とマキリを出した後は、そこからぞろぞろと続くようにユニットが手札に入るようになるのだ。まさに、マキリはこのデッキの指揮官のような存在だった。だからこそ、そんな指揮官のいないこの状況、ユニット達が来るはずもなかった。そう、指揮官のいない隊は成り立たないのだ。だから、俺は求めていた。ユニットを連れる指揮官を、俺の相棒を。きっと、あの中央に置かれたコルドロンも待ち望んでいるだろう。自分を使ってくれる指揮官を。祈るように、俺はプランをめくった。必ず、来てくれる。信じている、相棒を。

――めくれたカード、『魂の刃マキリ』

「相棒っ!!」

そこには、ユニット達の指揮官が、俺の永遠の相棒が、そこにいた。

“必ず来てくれる”、“信じている”、その思いが相棒に通じた瞬間だった。

「プランから、マキリを中央ラインにプレイ!」

2点、マキリが入れてくれたスマッシュだ。今は残念ながら相手の『マオ・シャム』に潰されてしまって墓地にいるが、その頑張って入れてくれた2点は、後に大きく変わっていくだろう。

戦況は、今のところ不利だ。ユニットは中央ラインの中央エリアに相手のシャム、あと左ラインの敵軍エリアに確か『調停商人オウル・カーン』のでかいバージョンのやつがいる。こちらのユニットはいない。本当であれば、俺はかなり不利な状況だ。だが、俺の手札にはある切り札が眠っている。闘いの中では初めてみるマキリの姉、『導きの杖ホリプパ』だ。生憎相手の墓地はほとんどなく、十分真価を発揮できる状況だ。ドラフトなら確定除去も少なく、加速も持てるこいつを止めるのは相当難しい事だろう。俺は思わずにやけてしまう。目前に迫った勝利に――

――しかし、ホリプパは倒されていた。俺があるミスに気付いた時、その時にはもう、『マオ・シャム』によって一方的に踏み潰されていた。相手の墓地は確かに5枚以下、それにコルドロンの効果で+500され、結果パワー9000の加速付きという破格の強さを持っていたのにも関わらず、倒されていたのだ。別にシャムが大きくなったわけではない。そう、ホリプパが小さくなっていたのだ。俺は忘れていた。相手の、敵軍エリアにいた『銀行頭取ロック・フューラー』の能力を。

俺が勝利を確信した前の相手のターン、相手はプランからロック・フューラーをプレイしていた。てっきり、俺はそのユニットの能力を『調停商人オウル・カーン』とほとんど同じだと、フリーズした時のドローの効果が少し違うだけだと思って、能力を確認するのをスルーしていた。オウル・カーンのでかいバージョン、それだけだと。しかし、こいつはオウル・カーンとは違っていた。そう、-2000ではなく、-5000だったのだ。俺はそれに気付かず、コルドロンの置いてある中央ラインにみすみすプレイしてしまった。すると、相手はロック・フューラーをこちらまで進ませ、能力を使いフリーズし、ホリプパのパワーを4000まで下げさせ、そして、目の前にいた本当なら雑魚同然だったシャムに踏み潰されてしまった。

俺は、見ていなかったのだ。弱そうなカードだからと、オウル・カーンがいるから使わないと、勝手にそう思い、このカードを真剣に見た事がなかったのだ。だからこそ、俺はこんな初歩的ミスをしてしまった。悔やんでも悔やみきれない、馬鹿みたいなミスだ。相手のユニットは2体、そのうち1体は元々のパワーが6500、しかもコストを払ってフリーズするだけで、パワーを-5000させる能力を持っている。それに、ドローまで出来る。俺の小型ユニット達では、その壁を越える事が出来ない。

こうして、俺は切り札を、勝ち筋を失ってしまった。

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初めての公認ドラフト~逆転への切り札~④

こんばんは、今回は前々回の続きですので、前回を未読の方は第三話をどうぞ。

(注意:これは全てノンフィクション、実際に起きた出来事を小説のように書いています)

第四話~破壊竜~

正直、俺は浮かれていた。2連勝、4回戦あるうちの2回も勝ち抜いたのだ。最初はほぼ無理だと諦めていた優勝まで、もう半分も来ている。それに、俺はドラフト初出場だ。初めてでここまでこれたのだ。少しくらいうかれても当然だと思っていた。

と言っても、結局はまだ半分。まだ後2戦もあるのだ。それに、この3回戦以降は1回でも負けたら、絶対に1位になる事は出来ない。たとえば俺がある人に負けたとしよう。それでその俺に勝った人が次の試合負けて、俺が他の人に勝ったとしても、オポーネント差で繰り下げられてしまう。要は、もう後が無い、負けが許されないのだ。そんな事など何も考えないまま、俺は後半戦となる3回戦目の戦いの場へと向った。

今回の対戦相手はまたも仲間内であるS口君。俺よりも年下だが、ドラフト経験もそうだが様々なカードゲームに手を出しているため、色々な意味で俺よりかは先輩のような感じだ。だが、俺もカードゲーム暦が短いわけではない。“負けたくない”、それは優勝するためでもあるが、俺のプライドが、経験の差だけは負けたくないという意地から生まれるものなのかもしれない。

ジャンケンの結果、初めて後攻スタート。手札を覗くと、やはりかと思うくらいつまっている。こんな手札で闘えるかっ、とテーブルに手札を叩きつけたくなるくらいだ。ただ、今回はジャンケンで負けているため、マリガンが使える。俺は迷わず手札の5枚を一番下に送り、上から5枚を取る。もしこの手札もつまっていたら、俺は後攻のうえ何も動かないやられ放題の試合をしてしまうかもしれない。緊張の一瞬だった。そして、ゆっくりめくると、そこにはまたしてもあのカードが顔を出していた。

『魂の刃マキリ』

40枚のデッキの中に1枚しか入っていないのにも関わらず、今まで全ての闘いに顔を出してくれている。さすが、俺の相棒だ。

しかし、唐突に思う。一体俺はどこまでマキリに頼れば気がすむのだろう、と。確かに強い。ドラフトならプラン更新以外では墓地が増えにくく、なおかつ3ターン目に出てくるスマッシュ2の4500+加速付き。正直鬼のようでもある。ただ、俺はこいつに頼りすぎて、こいつ無しでは闘えないのではないかと薄々感じてきている。一回戦目もそうだが、二回戦目なんてこいつだけでスマッシュを7点も入れてしまったくらいだ。マキリに頼りすぎ、運が良すぎると言われても何とも言い返せない。ただ、一ついえる事は、そんなふうに思う俺に、何故かいつもこいつは来てくれる。たった1枚なのに、しかも一番強力な序盤で、必ず。俺はこいつに頼っている。同時に、こいつを信頼している。必ず来てくれると、俺の力になってくれると。そして、今もこうして俺の手札に来てくれている。もしかしたら、それは俺の信頼する思いがマキリに通じているのかもしれない。俺に出来る事は、その信頼に答えてくれるマキリをどこまで有効に使えるか、どこまでスマッシュを叩き込める隙を与えさせるかだ。

「――3エネ払い、魂の刃マキリを中央ラインにプレイ!」

戦況は、まあ俺が有利といったところだろうか。こちらのユニットは中央ラインの中央エリアに『弧状の魔炎アーク』、左ラインの自軍エリアに『盾竜城ステゴ』がいる。相手のユニットはいない。相手に与えてたスマッシュは4、全てマキリの頑張りによるものだ。マキリが序盤頑張ってくれたおかげで、今俺は優位に立てている。本当にマキリには感謝したい。そして今、俺は優先権を放棄するところだ。このままスマッシュが通れば5、残りわずか2点となる。しかし、相手はまだ目立った行動を起こしていない。それにエネルギーはスマッシュを含め相当な数になっている。そろそろ何かが起きていいころだ。俺に残されたエネはわずか1しかないため、そのまま優先権を放棄する。すると、まあ当然といったところだろうか、相手は左ラインの敵軍エリアに『盾竜城ステゴ』をプレイした。何故かアークの前ではなく、その斜め前。それに、相手の残りエネはもうない。つまり、何か秘策があるのだろう。このまま1点のスマッシュならくらっても平気な秘策が。

確かに、安定して戦うならこのまま1点のスマッシュを与えるだけのほうがいいかもしれない。しかし、俺にもある秘策があるのだ。俺は相手のエネがもうない事を再確認し、そしてアークを進軍、捨て身覚悟で敵軍エリアに突っ込ませたのだ。これで相手のスマッシュは6点、俺の勝利にリーチがかかる。そう、これでいいのだ。“6点”を与える、これが重要な事なのだ。だが、相手のターン、俺は予想外なユニットを目の当たりにする。

『破壊竜ズィーシェン』

自分のユニットがバトルに勝った時、そのユニットの下に闘気を付け、さらに闘気が付いている自分のユニットのパワーを+2000も上げる事が出来るユニットだ。Ⅱ-3で出てきた、言ってしまえばこのシリーズの中では目立たないカードの一つだった。『機械竜グラシア』という桁外れに核上のユニットがいたためである。しかし、このドラフトではそんなグラシアと同じくらいの強さ、もしかしたらそれ以上かもしれない。基本的にこのドラフトではユニット同士の戦いが主であり、ストラテジーなどでユニットを対象にとるカードが少ない。確かに、グラシアは歩くだけで闘気を付ける事ができる。ただ、グラシアの強みである“闘気を廃棄すれば対象にならなくなる”が、このドラフトではあまり活かす事が出来ない。しかし、ズィーシェンは違う。闘気を付ける条件はグラシアより難しいが、その“闘気を廃棄した時の能力”が、この戦いでは大きなものとなる。そう、こいつは“スマッシュを上げられる”のだ。つまり、今アークを踏み潰したこのズィーシェンのスマッシュは“2”ではなく、ほぼ“3”と考えていいだろう。それに、左ラインにいる相手のステゴ、なんとこいつがこちらのステゴに突っ込んできたのである。相打ち狙いか、と思いきや、その移動スタックに『策士達の競演』をプレイしたのだ。これでこちらのステゴは5500、攻撃した相手のステゴのパワーは8500。一方的に踏み潰されてしまった。それにより相手のステゴには闘気が付き、ズィーシェンの能力によりなんと通常時でも7500のパワーを持つ化け物になってしまった。先ほどまでの状況とは一変、こちらのユニットは0。だが相手のユニットは2、それも2体ともズィーシェンの能力でパワーが上がり、とてもこちらの小型ユニットでは追い返せない巨大獣へと進化してしまった。そして生き残った者の特権であるスマッシュをステゴが食らわし、こちらのスマッシュは計3となった。もし俺がステゴしか破壊出来なければ、そのまま闘気の付いたズィーシェンがこちらまで突っ込んでいき、闘気を廃棄すればスマッシュは4となり、俺の敗北へと繋がる。つまり、俺はこの俺のターン中に相手のユニットを2体破壊するか、残り1点のスマッシュを与えるしか道はなかった。だが、場に残っている俺のユニットは0、スマッシュを与えるユニットなど残っていなかった。再びの絶望的状況、まるで1回戦目を思わせるかのような、もう負けを覚悟したピンチであった。

ただ、俺の手札には、最初からこの時までずっと手札に忍ばせていたあるカードがあった。きっとこのような場面が来る、そう思いエネには置かず、密かにとっておいたのだ。こんな1回戦目を思わせる状況、それを心待ちにして。

そう、1回戦目で勝負を決めた必殺のカード、『破壊竜吼える』を……!

「手札から『シカーダ・マスター』をプレイ! そして、同じく手札から『破壊竜吼える』を使い、シカーダ・マスターをリリース! 一歩進軍し、優先権放棄!!」

使用したエネルギーの合計は“9”、先ほどの相手のスマッシュを合わせて丁度だった。

こうして、俺は3回戦目も勝ち抜く事が出来た。マキリの頑張り、アークの捨て身、破壊竜吼えるによる奇襲によって。今回もこんなギリギリの戦いをしてしまい、毎回頑張ってくれるマキリに申し訳なくなってしまう。だが、それでも俺は勝ち残った。“破壊竜”ズィーシェンという壁を、同じ“破壊竜”の雄叫びで乗り越えて――

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初めての公認ドラフト~逆転への切り札~③

こんばんは、今回も前回の続きですので、前回を未読の方は第二話をどうぞ。

(注意:これは全てノンフィクション、実際に起きた出来事を小説のように書いています)

第三話~魂の一撃~

ようやく掴んだ1勝、俺はその奇跡的な勝利を大いに喜び、心の中で舞い上がっていた。ただ、これはあくまで四回戦あるなかの一回戦目に過ぎない。1勝したからと言って浮かれていては、これからの壁を越える事は出来ない。俺は弾む心を自分で落ち着かせ、やや早足で二回戦目の対戦相手のいる場所へと足を運んだ。次も勝ってやる、そう意気込んで。

対戦相手は知らない人だった。少し格好のいい、若そうな男の人だ。この伊勢崎店では見た事がない。だが、油断は出来ない。一瞬の気の緩みが死を招く。それはドラフトに限った事ではない。どんな事であっても集中を切らした方が負けなのだ。

ゆっくりとお互いの山札を切り、渡す。何故だろう、手が少し震えていた。俺は何かに怯えていたのだろうか、それとも緊張のせいだろうか。だがそんな事ではこの戦いを勝ち進む事は出来ない。それは武者震いなのだと頭に叩き込み、そして、俺の二回戦目が始まった。

ジャンケンの結果、再び俺の先攻スタート。どちらかと言うと、マリガンの権利がある後攻のほうがよかった。悪魔でもついているのか、俺はこういう本番に限っていつも手札事故が起きるのだ。今回も事故が起こるに違いない、そう思いながら手札を見た。まあ大体予想通りである。序盤の要となるユニットが何一ついない。手札にあるのは、正直見たことも使った事もない赤の廃棄ベース、こんなカードもあったなぁと懐く感じる赤の条件付き強化ストラテジー、あるけばすごい事になるデカイ赤の竜。もう少し考えてカードを選べば良かったな、と今になって後悔する。一体これでどうやって序盤を凌げばいいのだろうか。ふぅ、と溜息が出ると同時に、俺はあるカードが手札にある事を見逃していた。

『魂の刃マキリ』

一回戦目で前線を闘い、見事に2点のスマッシュを入れ散っていった勇者、俺の相棒だ。まさか1枚しか入っていないこのカードが2戦連続でくるとは……。これでなんとか序盤を凌げる、俺はそれだけを考えていた。

しかし、ここである閃きを思いつく。こんな事、ドラフト意外でもした事がない。しかも成功するかどうかは相手次第でもある。それに失敗したらリスクも大きい。そこから立ちなおすのは至難の技になるだろう。

だが、もし条件が揃えば……。このドラフトだからこそ、相手がそれはないと油断してくれれば……。

俺はある賭けにでる事にした。それは決して必勝ではない。ましてや成功するかどうかも危うい。しかも失敗したら相当の痛手。そこから立ちなおすのはかなりきつい。まさしく賭け、ハイリスクハイリターンのギャンブル。心の中がざわ……ざわ……と騒ぐ。だが、俺はとてつもなく勝負時に弱い。小学校の何の委員に入るかを決めるジャンケンでさえ、6年間、勝ってその希望の委員会に入れた事がないのだ。負けて違う委員に飛ばされるか、または希望した委員が俺だけだったとか。ゴミ捨てに行くのを決めるジャンケンも6,7人もいるのに俺の一人負けだった事が何回かあったりした。そんな運のない俺が、こんな賭けに成功するだろうか。

しかし、俺は腹を決める。成功するかしないか、思う事はそれではない。確実に成功させる、それだけを思えばいいのだ。

1ターン目、俺は赤のカードをエネに置き、ターンエンド。そして相手のターン終了時、まず1枚目のキーカードとなる赤の廃棄ベース『天上宮ヴァルハラ』を中央ラインにプレイ。この1枚が、後に大きく響くことになるのだ。そのため今張っておかなければならないのだ。この作戦を成功させるためには。

3ターン目の相手のターン終了時、ついにこの作戦の要となる俺の相棒、マキリを中央ラインの自軍エリアにプレイする。こいつがいてこそ、この作戦は成り立つのだ。しかし、同時にこいつを失う事がこの作戦の失敗、敗北へと繋がる。いかにしてこいつを生かすか、それは俺という一人のゼロプレイヤーにかかっているのだった。

次の俺のターン、あえてマキリを進軍せず、プランをしてそのまま終了。今はまだだめなのだ。作戦を第一に考えなくては。それに今攻めたところでマキリの攻撃が必ず通るとは限らない。迎撃されて死んでしまうかもしれない。そんなリスクを考えたら、今は攻撃するべきではない。相手はその優先権に対し、『ダークビースト・グリフィン』を俺から見て左ラインの敵軍エリアにプレイ。

相手のターン、特に何かをする事なく終了。俺の残りエネは3、そして手札には『妖魔の探偵』がひょっこり顔を出していた。しかし、俺はここでこいつを出さず、次の俺のターンにエネへと送ってやった。別に後々手札がきつくなるわけでもエネに緑が無いわけでもない。ある一枚のカードのため、俺は出さずにいたのだ。さらなる失敗へのリスクを犯してまで。

そして、ついに作戦は本格的に動き出す。俺はマキリを一歩進軍させ、優先権放棄。残したエネは3つ。その3つに意味があるのだ。前のターンではいけない、大きな理由が。相手はその優先権に、右ラインに名前は忘れたが黒のパワー3000のユニットをプレイ。ここまでは想定内、いや、むしろ順調だ。とりあえずここでマキリが一撃を与える。そう、これで残る条件は後一つになる。だが、これがまた難しい。要は相手任せなのだ。相手がこうしてくれれば、というたられば。でも、もし成功すれば……。

運命の相手のターン。もしここで“ある行動”を起こしてくれなければ、作戦はきっと失敗に終わる。俺は願いながら、ひたすら待つ。“ある行動”をするまで……。そして、相手がとった行動、その右ラインの黒ユニットを中央まで運び、スマッシュ。ただ、それだけ…………。

これで、条件が揃った。

これが最後になるだろう俺のターン、総エネルギーは6、そしてスマッシュをいれ7……!! そう、スマッシュを一つ受ける。これが狙いだったのだ。これで、丁度エネルギーが足りるのだ。

俺は2エネ払い、マキリを進軍、敵軍エリアへ。そして優先権放棄。そう、これは相手にユニットを出させる釣り、エネルギーを使い果たせるための進軍。

(さあ、来やがれ……っ!)

俺の脳内では、パワー5000か6000あたりのユニットが飛び込んでくると思っていた。しかし、その予想は空しくも外れる。

相手がプレイしたユニット、『犬闘士ボクサー』。

確かに、通常のパワーは5500、想定内だ。だが、こいつにはある能力がある。“フリーズされている時、パワーを+3000する”。 これでボクサーのパワーは8500、マキリのパワーは4500、その差4000。俺の残りエネルギーは5。普通の強化ストラテジーでは3000が限界、連動付きの強化ストラテジーなら最大6000までいけるが、生憎墓地には連動は無い。そう、普通の強化ストラテジーではこの壁を越える事は不可能……。

しかし、俺の手札にあるカードは、“普通”ではなかった。

「ボクサーのプレイスタック、3コスト払って、マキリに『たとえ一人になっても』をプレイ!」

“たとえ一人になっても”、このカードは対象のユニットのパワーを+5000させる。ただし、バトルゾーンにユニットが1体しかいなければ、使用する事が出来ない。そう、あの場面で『妖魔の探偵』をプレイしなかったのはそのためなのだ。

これで、マキリのパワーは9500。ボクサーの馬鹿力を返り討ちにし、マキリ、生き残る……!!

だが、これで終わりじゃない。

“たとえ一人になっても”、このカードにはもう1つ、追加効果がある。ターン終了時まで、対象のユニットのスマッシュを+1するのだ。これでマキリのスマッシュは敵軍エリアにいるため4。そして、俺の残りのエネは“2”!

「2コスト払い、『天上宮ヴァルハラ』を廃棄し、マキリのスマッシュを+1します!」

これで、マキリのスマッシュは“5”……!

そして、相手の受けているスマッシュは2、計7点……!!

「では、マキリで5点スマッシュ! 俺の勝ちです!」

俺の作戦はこうだった。

最初にマキリで2点のスマッシュを入れておき、まさかドラフトではないだろうと油断をさせ、そこを漬け込み1体で5点のスマッシュを与える事だった。問題は、いかにマキリを生かすか。まず、最初の2点のスマッシュを入れるタイミング、それが難しい。生憎、持っている強化ストラテジーが最後のしめに使う予定の『たとえ一人になっても』しかなく、その2点を入れるタイミングで迎撃されては何の意味もない。だからこそすぐには進軍せず、進軍するためのコストと、保険としてその2点のスマッシュを与えるタイミングでも『たとえ一人になっても』を使えるよう5エネが溜まったその時にスマッシュをしにいったのだ。これならば、最低でも3スマッシュは与えられる。それに迎撃要員になるユニットが相手の手札にないのなら、次のターンに4点のスマッシュを入れ、別ルートでの勝ち方になるが作戦は成功となる。

そしてもう一つの問題、それがエネの数。流れるようにスマッシュをするためには、エネが一つ足りないのだ。だからといってエネが6溜まった時にスマッシュしにいくのでは遅すぎる。マキリの強みは序盤でスマッシュ2以上を叩きだせる事と加速を持てる事であり、そんな後半になってからではその低いパワーから簡単に迎撃されてしまう。それに相手の墓地が3枚以上になってしまったら、その時点で無意味になるのだから。行動はなるべく早くおこさなければならない。だが早すぎては迎撃された時無防備になる。だからこそ5ターン目、5エネが溜まったこの時に行動を起こす必要があった。しかし、そうなるとエネが1足りなくなる。“相手任せ”、スマッシュをしてもらって初めて全てが成功するのだ。

可能性は低い、だがだめならまた違う方法を考えればいい。それだけを考え、俺はこの作戦に踏み切った。と言っても、“5ターン目に攻撃をしかける”、“スマッシュを1点もらう”、それらは作戦を進行していくうちに気付いた事であって、最初からそれらを計算にいれていたわけではない。“一気に5点のスマッシュをする”、最初はそれしか考えていなかった。それがどうすれば成功する確率をあげられるか、そう考えていくうちにこのような結果になった。

発想、偶然。それらが全て重なり合い、俺はこの2回戦を勝つ事が出来た。正直、ほとんどが運によって引き起こされたまぐれ勝ちかもしれない。けれども、俺は勝った。まぐれでも、俺は勝ったのだ。作戦は全て理想だけれど、それでも成功へと導く事が出来た。

実力が全てでなく、運が全てでもない。

俺は思う。実力と運が、発想を現実にする実力と偶然を引き起こす運が、俺を今勝たせているだと。

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初めての公認ドラフト~逆転への切り札~②

こんばんは、今回は前回の続きですので、前回を未読の方は第一話をどうぞ。

(注意:これは全てノンフィクション、実際に起きた出来事を小説のように書いています)

第二話~エビの壁~

ようやく、長い時間をかけて俺のデッキが完成された。普段家で寝そべりながら作るデッキよりも作りは雑なのに、何故かどっと疲れがこみ上げてくる。無意識のうちにどれを入れればいいか集中していたのだろう。この初めてのドラフトで、あのカードを手に入れるにはどうすればいいかを考えながら。

デッキの中を見てると、色は赤と緑がほとんどだった。ただ純粋な赤緑ではなく、取らざる負えなかった『優しい教え』『メディア制服作戦』『できることを一つずつ』『チャイルド・スピリット』『渦巻く神殿の魔女』、そして『ミッドナイト・ソウル』などが入っている。青はともかく、白と黒は1枚ずつしかはいっていない。こうなると、スマッシュを受けるほか使う事さえ出来なく、ミッドナイト・ソウルにいたっては無駄に暴走するだけのただの邪魔ものだ。だが、ドラフトはそんなカードでも決して抜く事が出来ない。出来上がるデッキは必然的に40枚きっかりになるため、1枚でも抜いたらデッキではなくなり、ただの紙の束と化してしまう。そこら辺がこのドラフトという大会の難しいところなのだと、俺は改めて実感した。

そして、一回戦目の対戦相手が決められた。相手は仲間内の一人である愛称ノマネコさん、俺よりはるかにドラフト経験のあるツワモノだ。ゆっくりと目の前の席に座り、いつものように会話をした。だが、俺はそんなにほぐれてはいなかった。緊張しているのである。正直、この一回戦目で全てが決まると言っても過言ではないのだ。もしここで負けるような事があれば、そのまま勢いに流され、連敗してしまうかもしれない。そうなると、優勝どころか最下位の可能性だってありえる。最初の目的である1200円分の戦果さえあげられない。それほど一回戦目というのは大事なのだ。

25分、制限時間が制定される。いよいよ、俺の闘いがはじまる。

ジャンケンの結果、俺が先攻スタート。手札は……正直悪かったかもしれない。ただ、その中に1枚だけ光っているものがあった。『魂の刃マキリ』だ。3ターン目に召喚できて、なおかつ相手の墓地が2枚以下ならば、パワー4500のスマッシュ2というドラフトなら化け物のようなカードだ。それに赤緑主体のこのデッキなら、緑エネルギーを払えば加速も付けられる。まさに序盤の鬼と言ってもいいくらいだろう。

3エネが溜まり、相手のターンの終了時、もちろんこいつをプレイした。そして次の俺のターン、悠然と進軍を宣言し、スマッシュを食らわしてやった。スマッシュが全色エネになるドラフトだが、俺は攻めた。作戦で言えば「がんがんいこうぜ」だ。どんな小さなユニットでもいい、攻め手だけは失わぬように、俺は似合わないビートダウンでスマッシュを与えていった。

何ターン経っただろうか。こちらのユニットは、俺から見て左ラインの中央エリアに『弧状の魔炎アーク』、右ラインの自軍エリアに『闘神ニシキ』がいる。相手のユニットは、中央ラインの敵軍エリアに『ファンシーカット・ペリドット』、右ラインのニシキの前の中央エリアに、名前は忘れたがパワー4000のユニットがいる。俺がスマッシュしたのは3点、最初のマキリの一撃とアークの一撃だ。戦況はまあ有利と言ったら有利である。相手の手札にパワーアップカードがなければ、ニシキを進軍するだけでユニット数は3:1になる。こうなれば俺の勝利は揺ぎ無いものになるだろう。

そして相手の優先権が放棄される。俺はそのスタックに、中央ラインの自軍エリアに『盾竜城ステゴ』をプレイした。こいつのパワーは5500、ペリドットと同じパワーだ。こいつを進軍させてしまえばペリドットのスマッシュ2も無意味になる。相打ち覚悟で突撃してくれるなら好都合だ。それなら、それだけでスマッシュ2の恐怖から解放される。これが俺の狙いだった。

優先権はそのまま返され、俺のターンになる。俺のユニット達が進んでスマッシュをすればそのまま勝てる。だが、そんな簡単にはいかない。相手のエネルギーはスマッシュ合わせ9も余っている。何か大型が出るのかもしれない。俺は警戒しながらプランをした。すると、そこには『ミッドナイト・ソウル』というカードがあった。失敗だった。1枚だけ入っている黒のカード、取らざる負えなかった無駄な暴走付きの迷惑カード。それがこんな重要な場面で来てしまうなんて……。俺はしぶしぶ2枚あった手札から1枚を捨て、暴走効果を終了させる。考えも無しにプランを捲るものではない、と一つ勉強になった。だが、こんなところで勉強をしていても仕様が無い。今はどうやって攻めるかを考えるだけだ。といっても、きっとその相手の豊富なエネから大型のユニットが出るに違いない。そうなると、ペリドットが壁になっているため、このターン4スマッシュを決める事は出来ない。まあ別にこのターンに決めなければいけないわけではない。今はどのようにして有効に攻めるかだ。

その時だった。俺はある一つの事に気付く。プランに捲れているミッドナイト・ソウル、それが何色のユニットに使えるのかという事だ。黒のユニットはもちろん、このカードは暴走が付いている代わりにあるテキストが追加されている。そう、敵対色である白のユニットともう一つ、緑のユニットにも有効なのだ。そして、俺のエネにはシニキの前方にいるパワー4000のユニットによってあたえられたスマッシュが一つある。このドラフトではスマッシュが全色になるルールがあるため、たった一つの黒のカードでも使用する事が出来るのだ。俺はすかさずスマッシュでこれを使い、中央ラインの自軍エリアにいるステゴのパワーを+3000する。これによって、ステゴのパワーが8500へと変わり、相手のペリドットを一方的に潰せるサイズへと進化したのだ。こうなれば、相手の大型ユニットだって怖くない。敵軍へと向ったステゴ、もしその右隣に大型ユニットが出てくるのであれば、そのままアークを進軍させスマッシュを与えてやればいい。左隣でも同じようなもの、ステゴを特攻させ、相打ちをとらせればいい。それだけで相手はそのターン無防備になるわけだから、アークを進軍させてスマッシュをする。当然アークはすぐに潰されてしまうわけだが、俺にはニシキという中々の高パワーユニットがいる。そのまま押し切ってしまえば対応できなくなり、勝てる。まずは一勝、たかが一勝、だけど大きな一勝、それがもう目の前に近付いている。俺は勝利を確信し、スマッシュをするため優先権を放棄した。

しかし、相手の手札から舞い降りた、ある1体のユニットによって、俺の計画は全て潰されてしまった。

『エビ・エージェント』

想定外だった。こんなカード、予想もしていなかったのだ。別に弱いカードというわけで想定していなかったわけではない。むしろ逆、こんな今でも実戦級に強いカードがドラフトででるわけがないと思っていたのだ。だが、現実は目の前に、弧状の魔炎アークの目の前にあった。

このユニットが出た瞬間、全てのユニットに闘気が付く。言ってしまえばそれだけだ。しかし、その闘気が付くという効果がどれほど大きな事なのか、俺は知っている。エビの位置は俺から見て左ラインの敵軍エリア、アークの目の前でありステゴの左隣である。こいつの能力が闘気を付けるだけなら、そのままニシキを進軍させてしまえばいい。だが、エビ・エージェント、こいつはスクエアに置かれた時全てのユニットに闘気を付け、そして、その闘気が付いているユニットがこいつの隣にいる時、青1無色1払う事でそのユニットを手札へと強制送還させる事が出来る。相手の残りエネは2、一回起動できるコストが残っている。そしてエビに隣接しているのがアークとステゴ、戻されるのは決まっている。ステゴだ。これでは、このターンに決める事が出来なくなったという簡単な事ではなく、逆転されてしまう、いうならピンチなのだ。とにかく今は考えても仕方ないと思い、ニシキを進軍させ、相手の4000のユニットを踏み、優先権を放棄した。当然それを通してくれるわけはなく、エビの効果によってステゴが手札へと送られてしまう。これによりスマッシュは2点、計5点のみ。この最悪の状況で、相手にターンが回る。

当然といったようにエビは進軍し、アークを踏み潰した。さらにもう一歩進軍、ニシキの隣へと近付く。これでもう、ニシキでスマッシュする事は出来なくなった。追い討ちをかけるように、相手のプランから『おもちゃの兵隊』がそのままのコストでニシキの目の前に出る。これでもう、あとがなくなった。そして返される優先権。それと同時にある呼びかけがかかる。

「タイムアップです。エクストラターンで終わりにしてください」

つまり、お互い与えられた1ターンで勝負を決めろというもの。俺のターンになってからそう告げられたので、次の相手のターンで終了という事になる。しかし、相手の場にはスマッシュ2が2体……。これらがこちらに攻め込んでスマッシュ6点、計7点で俺の負けが確定する。つまり、このターンで俺は相手にスマッシュを2点与えて決めなければならない。だがニシキはエビという壁の前にひれ伏し、とてもスマッシュを出来る状況ではなかった。それに、俺の手札は『ドラゴンスレイヤー・アーミー』と、さっきエビに戻された『盾竜城ステゴ』のみ。

もう、絶望的だった。

俺は、もう諦めていた。所詮俺のようなドラフト初心者が勝てるわけがない。フェアエル・パーティは欲しかったが、こうなっては仕方ない。

ごめんな、マキリ。頑張ってくれたのに。ごめんな、パーティ……。

俺はまさしく最後のドローをした。もう何がきても無理だろう、そう思っていた。しかし、ここで、この最後の場面で、俺は目を見開かされた。

俺の引いたカード、『破壊竜吼える』。

そして、手札にはさっきエビに戻された『盾竜城ステゴ』がいた。材料が、揃った。

「ステゴを左ラインにプレイ! ……そして、手札から破壊竜吼えるをステゴに使い、リリース! 突っ込め、敵軍まで!!」

こうして、俺は一回戦を勝ち取った。とてもじゃないが実力で取ったと言える1勝ではない。でも、それでも俺は勝ったのだ。逆転の1勝、小さくて、でも大きな1勝を。

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初めての公認ドラフト~逆転への切り札~①

こんばんは、今回は、今日初めて体験した劇的な、まるでドラマのような公認ドラフトをやや小説気味に書いていきたいと思います。全て完全ノンフィクションなので、最後まで読んでいただけると幸いです。ただ、時間の関係で今日全てを書くことが出来ません。明日、明後日と続きを書いていく予定ですので、是非楽しみに。

(注意:今回は一人称を「俺」で統一します)

第一話~必ず取ると~

『犬闘士ブル・マスティフ』のプロモ、それが俺の狙いだった。サンバースト・エンジェルのイラストが描かれたこのカード、別に大会に優勝すると貰えるとかそういう物ではない。いわゆるただの参加賞だ。公認大会に出れば確実に貰えるのだが、俺はそのイラストが気に入っていたため今日近くのカードショップ『カードキングダム伊勢崎店』へと足を運んだ。一応、参加するからには優勝を目指したかったので、今日の朝作り上げた自信作のデッキで挑戦するつもりだった。そう、俺は今日の大会を普通の公認大会だと思っていた。

店に着いたら、もうする事は決まっている。いつもの仲間達と共に、朝作ったデッキを回し、どのくらい戦えるかを見るのだ。まあ良くも悪くもない回り具合だった。しかし、俺はこのデッキで戦う事は出来ないのだ。

俺が友人のユウと共にこの伊勢崎店へと足を運んでいる時、ユウは「ああ、そういえば」と思い出したように俺に告げた。

「今日の大会さ、普通の公認大会じゃなくて公認ドラフトだったぞ」

それを聞いて、少し溜息が出てしまった。

公認ドラフト、あらかじめ構築したデッキで戦う大会ではなく、皆でカード4パック分の1200円を店側に払い、その4パックから出たカードを皆で回しながら40枚のデッキを作り、それで戦う大会だ。

溜息の理由は、ドラフトはレア以上が1位の人から順に取っていく制度のため、俺の頭の中ではそういうドラフトのパックに限ってフェンリルやシュレーゲルが出、そして負けて取られていくという概念があったせいで今まで出た事がなかったのだ。それに、ドラフトは出場するだけで1200円も支払わなければならない。1200円は俺らのような中3にとっては大きな額であり、簡単にひょいひょい出られるようなものではなかった。

俺は相当迷った。別に今日の公認ドラフトに出なくとも、4月にある普通の公認大会に出れば貰えるのである。このプロモが大会で出回るのは2ヶ月くらいなのだ。無理して公認ドラフトに出る必要は無い。参加費1200円も痛い。それに、何より俺はドラフトの経験がない。いざ出たところで1200円の元が取れるくらいの戦果をあげられるだろうか。今回のドラフトに出場するメンバーの中には、俺よりはるかにドラフト慣れしているだろう仲間が4人ほどいる。ドラフト初めての俺がこの仲間達に勝てるだろうか。しかし、俺は手を上げた。ドラフトに参加するために。初めてだからこそ、これは今後いい経験になるだろうと。

こうして、初めての公認ドラフトは始まった。あくまで狙いは参加賞、あと1200円分の戦果。ただそれだけを目指して。

参加者は俺を含め9人。初めての俺にはよくは分からないのだが、今回は人が多いらしい。普段は4,5人で行われる事が多いらしく、今日のように9人も参加するのは珍しいようだ。まあ、多い方が楽しいのは変わらないのだが。

初めに店長から4パック分手渡される。パックはⅡ-3、Ⅱ-4、Ⅲ-1、Ⅲ-2と全てバラバラである。今回はⅡ-1が入らないため、フェンリルやシュレーゲルなどを血で血を争う戦いにはならなそうだ。まあⅡ-3にはスターフルーツやらドルチェ、Ⅲ-1にいたってはアムルイという可能性もある。醜い争いが起こらない保障はない。俺が願うはただ一つ、そういう高いカードが自分のパックから出ないよう祈るだけ。それで負けて取られては身も蓋も無いからだ。

そんなこんなで始められたドラフト。何やらパックを開ける『順番』があるらしく、皆は最初にⅢ-1を開けていた。ドラフトをよく知らない俺はそれに便乗し、まずⅢ-1を開けた。俺が狙うは再録枠のバルカン、このドラフトではスマッシュが全色扱いになるらしく、そのためバルカンは4コストで6000という破格のパワー、それに全色エネが一つ追加されるという最強っぷり。こいつをいかせば相当強いデッキと化すだろう。

そんなこんなで開けた1パック目。俺は、自分の運を憎んだ。もしかしたら、これは俺の未来を暗示しているものなのだろうか。さっそく、来てしまったのだ。シルバーレアが。『導きの杖ホリプパ』、相当の優良シルバー。なんでまたドラフトで出るのだ、と罪も無いそのシルバーを怨み、悔しさのあまりか、それを即デッキへと投入してやった。有効に使えるかどうかなんて知ったこっちゃない。ただ、このカードを一番最初に投入したおかげで、俺は悩んでいた色を赤緑主体へと決めたのだった。結果的に、これを考えも無しに突っ込んだのは良かったのかもしれない。

くるくると時計回りに回ってくるカード。それを一枚選んでは回し、また一枚選んでは回す。そうしていくうちに、自分デッキが赤と緑に集中していくのがわかった。組み合わせ的にはいいチョイスだったのだろうか。

そうして回していくうちに、俺は一つのカードを見つける。

『魂の刃マキリ』

直感か、それとも確信か、気付いた時には既にデッキへと入れていた。序盤に回ってくる事を祈る、ただそれだけを思って。姉の、ホリプパと共に。

次に2パック目、謎の順番で次はⅢ-2らしい。俺は、もうシルバー来るなよと念を送りながら、ゆっくりとⅢ-2のパックを開けた。……念は通じていなかったようだ。よりにもよって、またもやシルバーがきてしまうとは。『鎧闘士エビ・シルバー』、まさしくシルバーレア。この弾では中々の優良レアだ。ただ、残念ながら色を赤緑主体と決めてしまった俺にとってはいらないカード、そのまま無言で横へ流してやった。さらばシルバー。

このようにして回れば回るほど、デッキはどんどんと5色へと近付いていく。最初は2色だけだったのにも関わらず、この時点で白は1枚、青は2枚と取りたくも無いカードまでとらなければならない。ドラフトとは恐ろしいものだ。

様々なカードが俺を横切り、そしてさっていく。そんな中、そのまま流そうとしたカードに呼び止められたような、妙な感覚が俺を過ぎり、見直した。そこには、俺が前にデッキの主体として使っていたカードがあった。この感覚は、もしやこのカードの呼び声なのか。俺はその一枚をひっそりとデッキへと忍ばせた。信じてるぞ、と念を送って。

3パック目はⅡ-3だった。もしや、この流れはスターフルーツがきてしまうのかと思ったが、さすがにそこまで俺の運は腐っていなかったようだ。ここらでデッキを安定させるため、あまり使えずとも赤と緑を中心にカードを拾っていった。色が集中すれば、きっと滑らかに動いてくれると。

そして、運命の4パック目。手元に残ったのはⅡ-4のみ。ゆっくりと、何かに怯えるかのように、俺はパックを開け始めた。

俺がドラフトを嫌っていた理由、それが自分でシルバーを当てても意味がないという事。それなのにも関わらず、既に3パック中2枚ものシルバーを当ててしまっている。もし普通にパックを買って当てたなら、それは相当の強運だろう。しかし、このドラフトという一つの大会に参加している俺にとって、それは悪運だ。引いても、欲しくても、勝たなければ取ることが出来ない。一度は手元に引いているのに、自分でパックを開けて引いたのに、それらは自分の前から去っていく。そのような事が起こるからこそ、俺は出なかった。そういう悲しみをしたくなかったから。

剥がされていく最後のパック。白い紙とカードの説明が書いてある一つのパック。今まで、ここまで集中してパックを開けた事など無かっただろう。普段ならすぐにビリビリ千切って後ろのレア枠を見る。いつものようにパックを開ければいいのに、何故かこの時だけは集中せざるおえなかった。だがこうして時間をかけていても迷惑なため、俺は腹を決め、レア枠を見た。

俺は、思わず声に出して笑ってしまった。

来てしまったのだ。たぶん、今回のドラフト最大のレアカードとなるであろうカードを。

『フェアエル・パーティ』

巷では4000円ほどの値打ちがあるとされるこのカード。人によってはフェンリルやシュレーゲルと交換出来てしまえるほどのカード。それを俺は普通のパックではなく、このようなドラフトという場面で引いてしまった。当然、今自分の物にする事が出来ない。あくまで、このドラフトの景品となるカードだ。それを俺が当ててしまったのだ。そのまま自分の懐に入れてしまえば、さぞいい事だろうに。

だが、俺は考えた。そして、一つの結論を出した。

そう、ならば、俺の物にしてしまえばいいのだ。

もちろん、こっそり懐に入れるわけではない。こういう時こそ、前向きに考えればいい。勝てば、勝てばいいのだ。自分が優勝すれば、何の問題もなくこのカードを手に入れられる。悠然と、勝者の栄光を同時に浴びながら、このカードを手に入れる事が出来る。

俺は、他のカードを見る間もなく、このカードをデッキへと投入した。緑3無色2という、正直、ドラフトではほぼ絶対に使うことがないであろうこの『フェアエル・パーティ』。別に対戦中使うつもりはない。ただ、入っている事だけが重要だった。こいつを絶対に手に入れてやる、絶対勝ってみせると、そう思わせてくれるだけで十分なのだ。

俺は、この絶対に使うことのない『フェアエルパーティ』の入ったデッキで、このドラフトを戦いぬけると決意した。

こうして、俺の戦いが始まったのだった。

第二話へ

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